ハワイ周辺海山水域におけるキハダとメバチの標識放流プロジェクト

プロジェクトの目的

このプロジェクトは漁業間の相互作用や競合に関連した問題解決の基礎データとなるまぐろの移動や漁獲の程度を明らかにするためのもので、ハワイ表層漁業研究プログラム(PFRP)により実施されている。コナ(ハワイ島)の南西150マイルにあるクロス海山(北緯18度40分、西経158度10分)で操業しているキハダ・メバチ手釣り漁業に関連した地域的な配慮から開始された。主な目的はクロス海山での魚群の移動、国内の漁業または表層漁業とはえなわ漁業間の漁獲率、および魚群がどのくらい留まっているかを調べるためのものである。このプロジェクトにおいて、PFRPはIATTCと共同でテトラサイクリンを用いてメバチの年齢を検証する調査も行っている。これらがもたらす結果は、近い将来に予定されている更に地理的に大規模な標識放流を計画する際には重要なものとなると考えられている。

標識放流・再捕数の概要

標識放流はクロス海山周辺および他の海山、浮魚礁周辺で主に手釣りによって行われ、体長40cm~80cmのサイズが放流されている。魚種別の放流尾数(1999年1月27日現在)、再捕尾数および再捕率(1999年2月3日現在)は以下の通り。


(標識放流プログラムの概要)

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メバチ キハダ 合計

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放流 4322 5481 9803

再捕 347 536 883

再捕率(%) 8.03% 9.78% 9.01%

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ほとんどの再捕は放流付近もしくは海山と沖合の気象ブイ間の移動を示している(図参照)。放流地点以外の再捕はカウアイ、モロカイ、オアフそしてハワイの各島の沖合に設置したアンカー型の浮魚礁(FADS)から報告されている。ほとんどが手釣り漁業で再捕されているが一部ははえなわやトローリングからも再捕がある。最も長距離の再捕は、1996年11月に放流されバハカリフォルニア沖でまき網によって1997年7月に再捕されたキハダである。ごく最近、日本のはえなわ船によってもキハダの再捕が、1999年の1月末から2月の始めに北緯30度、東経170度付近で漁獲されたことが報告されている。

再捕報告のお願い

このプロジェクトに用いられたタグは2色あり、オレンジのものは通常標識である。緑色のタグはテトラサイクリンが注射されており、年齢形質(耳石)の調査のため是非とも頭部を保存し送付してください。この他に必要な情報は、標識番号、再捕日時、再捕位置、漁法、体長(尾叉長)、体重、魚種、再捕者の氏名・住所、です。再捕謝礼をもれなく進呈致します。再捕があった場合は以下の機関または最寄の水産研究所・水産試験場に連絡をしてください(ポスター参照)。


<米国>ハワイまぐろ標識放流プロジェクト

Hawaii Tuna Tagging Project, c/o Hawaii Institute of Marine Biology,
P.O. Box 1346, Kaneohe, Hawaii, 96744, USA

電話 1-800-588-8066(米国内のみ、無料)または 001-808-956-4108
FAX 001-808-956-4104 E-mail : <kholland@hawaii.edu>

<日本>水産庁遠洋水産研究所浮魚資源部

〒424-8633 静岡県清水市折戸5-7-1
TEL 0543-36-6000 FAX 0543-35-9642 

メバチの放流・再捕状況

 

キハダの放流・再捕状況