平成15年度研究所機関評価会議概要報告
遠洋水産研究所
平成15年度の業務の実績についての遠洋水産研究所機関評価会議(研究所機関評価会議)は、平成16年3月10日に開催されましたので、以下にその概要を報告します。
また、水研センターの機関評価会議(センター機関評価会議)の結果概要については、水産総合研究センター(http://www.fra.affrc.go.jp)のホームページを参照してください。
1 開催日時 平成16年3月10日(水)10:30-17:20
2 開催場所 遠洋水産研究所会議室
3 出 席 者
○外部評価委員
金子与止男 自然資源保全協会
須田 明 日本鰹鮪漁業協同組合連合会
田中栄次 東京海洋大学
深沢理郎 海洋科学技術センター
安本教傳 椙山女学園大学
○遠洋水産研究所
若林 清 所長
和田時夫 企画連絡室長
白鳥高志 総務課長
鈴木治郎 浮魚資源部長
魚住雄二 近海かつお・まぐろ資源部長
川原重幸 外洋資源部長
稲掛伝三 低緯度域海洋研究室長
張 成年 企画連絡科長:事務局
4 研究課題の評価結果
平成15年度に遠洋水産研究所が実施した22の研究小課題(年度計画第2の1の小課題)の評価は、S:1課題、A:21課題、B:0課題、C:0課題であり、全ての小課題が15年度の当初計画を達成したと評価された。
5 14年度指摘事項等のフォローアップ状況
(1)外部委員の主な意見
部評価委員の主な意見 |
対応方針と実施状況 |
・将来の水研センター組織の統合にあたっては、業務量が増加する一方で人員削減されるため、何年か後には1人当たりの業務が大幅に増加するのではないか。 |
・正規職員の増員は望めないことから、当面は特別研究員や支援研究員を確保し、研究体制の維持と補強を図る。 |
・将来の組織見直しにあたっては所内だけでなく所間の調整が必要ではないか。 |
・現在の業務の維持を基本としつつ、効率的な業務推進の観点から、必要な対応体制について検討する。 |
・海洋研究は水産の基礎となる重要な分野であり、研究体制の維持・増強が必要ではないか。 |
・人員増加が困難な状況下で効率的な調査研究を推進するため、既存の研究室を統合して海洋研究グループを設置し、一元的な外洋域の海洋環境研究を実施する。 |
・ウミガメをはじめとする混獲生物対策のため遠洋水研が中心となって人材育成を含め対応するべきである。 |
・水産庁、栽培漁業部、関係団体と連携して、混獲生物の生態、行動及び資源状態の把握、混獲防止技術の開発に取り組む。 |
・種判別や原産地表示等の食の安全対策に関し、研究所が専門分野を活かしもっと社会貢献するべきである。 |
・遺伝的手法による広域性資源生物の種や系群判別の手法開発や判別結果を、水産物の種判別や原産地表示に応用する。 |
・事業等を通じて質の高いデータが蓄積されており、その科学論文化を期待する。 |
・国際条約対応等により十分な時間の確保が難しいが、報告書等の科学論文化を進める。 |
(2)改善方策
改善を要する問題点等 |
すでにとった措置 |
今後検討するもの |
・必要な人員の確保と1人当たり業務量の適正化。 |
・平成15年度には特別研究員2名、重点研究支援協力員4名、支援研究員7名を確保した。 |
・能力の高い支援研究員等の確保のための手続きの簡素化や待遇の改善。 |
・組織見直しにおける適正な検討・調整。 |
・第1中期には研究所内の組織見直しを行うこととなっており、海洋・南大洋部の改組を検討・決定した。 |
・現在の業務の維持を基本としつつ、業務の効率化も考慮した必要な対応体制について検討する。 |
・海洋研究体制の維持・増強。
|
・平成16年度から既存の研究室を統合した海洋研究グループを設置し、一元的な外洋域の海洋環境研究を実施している。 |
|
・混獲生物対策研究の充実・強化。 |
・混獲生物の資源状況を把握し、報告書や論文として刊行したほか、水産庁や関係団体と連携して正しい情報の普及に努めている。 |
|
・食の安全対策への貢献。 |
・まぐろ類については、当所が開発した手法により水産庁が種判別事業を行っている。産地判別も、クロマグロ等で大洋の区別が可能になりつつある。 |
|
・事業成果の科学論文化の促進。 |
・平成14年度は38編、15年度は37編の査読論文を発表した。 |
・国際条約の科学委員会報告等からの科学論文化を進める。 |
4 15年度指摘事項と対応方針等
外部評価委員の主な意見 |
対応方針と実施状況 |
今後検討するもの |
・水研センターの評価システムの中での研究所機関評価会議の位置づけをより明確にする必要がある。 |
・研究所に係わる事項について具体的なご意見をいただけるよう資料の内容や説明方法を改善する。
・業務の効率化に関する事項について、研究所レベルでの具体的目標の設定について本部に対し検討を要請する。 |
・資料内容や説明方法の改善。
・業務の効率化に関する研究所レベルでの具体的目標の設定。 |
・人員増が見込めないなかでは、従来の魚種別対応を見直し、研究手法を軸にした組織再編を考えてはどうか。 |
・当面の国際・国内業務への対応において魚種別対応の枠組みをはずすことは出来ないが、研究手法を軸にした研究部間の連携強化について検討する。 |
・研究手法を軸にした研究部間の連携強化。 |
・水研センターとして海洋環境研究についての長期ビジョンが必要ではないか。
|
・センター海洋部門では15年度に将来構想を取りまとめ理事長に提出した。今後は、構想の早期実現に向け、資源部門等との将来の連携に関する検討や、当面可能な他研究所海洋部門との連携強化を進める。 |
・構想実現へ向けた、資源部門等との将来の連携検討や、他研究所海洋部門との連携強化。 |
・海洋・南大洋部の改組は効果的か。 |
・実施中の研究課題において、所内関係部及び海洋関係研究室間の連携を前提とした16年度計画を策定しており、その確実な達成と成果の早期公表を目指す。 |
・計画の確実な達成と成果の早期公表。 |
・国民へのタンパク供給など、農林水産研究のなかでの水産研究の独自性、重要性を示すべきである。 |
・水産庁からの日本学術会議に対する「我が国水産業の多面的機能」に関する諮問への答申結果等を踏まえつつ、遠洋漁業分野での提案事項を検討し、プロジェクト課題提案等につなげていく。 |
・「我が国水産業の多面的機能」等における遠洋漁業分野での提案事項に基づく、プロジェクト課題等の検討と提案。 |
・混獲生物の調査・研究に関し、オサガメとタイマイについても取り組んで欲しい。 |
・オサガメについては、衛星利用による行動追跡など生態の把握に着手した。タイマイについては、栽培漁業部における人工繁殖技術の開発に協力する。 |
・タイマイについての栽培漁業部における人工繁殖技術の開発への協力。 |
|