運営会議

平成14年度研究所機関評価会議概要報告

                                遠洋水産研究所

 

独立行政法人水産総合研究センター(水研センター)は、水産に関わる調査・試験・研究を総合的に実施する機関として、これまでの水産庁研究所を統合し、平成13年4月1日に設立されました。
 業務を進めるに当たっては、法律の定めるところにより、あらかじめ農林水産大臣から示された5年間の中期目標(平成13年度~17年度)をもとに、それを達成するための中期計画について、主務大臣の認可を受け、中期計画に基づき、毎年度の業務運営に関する年度計画を定めています。また、毎年度の業務の実績については、独立行政法人評価委員会の評価を受けることとなっています。
 水研センターでは、これら法律に基づく評価に先だって、自己評価・点検を行い、その結果を研究資源配分や業務運営等に反映することとし、研究所の研究部、研究所、センター全体の3段階で、それぞれ外部委員を含めて評価・点検を行っています。
 平成14年度の業務の実績についての遠洋水産研究所機関評価会議(研究所機関評価会議)は、平成15年3月6日に開催されましたので、以下にその概要を報告します。
 また、水研センターの機関評価会議(センター機関評価会議)の結果概要については、水産総合研究センター( http://www.fra.affrc.go.jp )のホームページを参照してください。

 

1 開催日時    平成15年3月6日 10:30~17:20

2 開催場所    遠洋水産研究所 大会議室

3 出席者

○外部委員

金子与止男     自然資源保全協会

澤田敏雄         静岡県水産試験場

須田 明         日本鰹鮪漁業共同連合会

田中栄次         東京水産大学

深沢理郎         海洋科学技術センター

安本教傳         椙山女学園大学

○遠洋水産研究所

若林 清         所長

石塚吉生         企連室長

千葉秀子         総務課長

鈴木治郎         浮魚資源部長

魚住雄二         近海かつお・まぐろ資源部長

川原重行         外洋資源部長

水野恵介         海洋・南大洋部長

  

4 研究課題の評価結果(年度計画第2の1の小課題のS・A・B・Cの個数を記載)

    S:1個    A:17個 B:0個    C :0個

 

5 13年度指摘事項等のフォローアップ状況(外部委員の主な意見に対する対応と状況)

 外部評価委員の主な意見

 対応方針と実施状況

 1)独法化によって効率性やサービスの向上が謳われているが実際はどうか。

 

 

 ・実際には独法化によって各水研の業務量が増加している。また人員削減の影響も大きい。予算の弾力的運用に向けて努力している。

 2)独法になって人手が減ることはあっても増えることはないので人的交流をうまく考えることがこれから必要である。水研センター単独でやるのではなく、これからは大学との連携として大学院生の受入れと指導、講義への参加、共同研究への参画、文科省系列の例えばJAMSTECとの連携を深めてゆくべきである。

 ・他研究機関からの研究員を積極的に受け入れている。特別研究員事業等に随時応募している。日本学術振興会特別研究員を2名配置している。科学技術振興事業団の重点研究支援事業に採択されたことにより、平成14年1月から4名の研究支援協力員が5年契約で配置されている。共同研究の一環として東大海洋研の特別研究員1名及び自然資源保全協会研究員2名が当所で研究活動に従事している。

3)クロマグロ増養殖については民間と連携して積極的に調査研究を行ってもらいたい。

・クロマグロの産卵生態に関しては日本栽培漁業協会と密接な調査研究協力を行っている。

4)大学や他機関との連携を深め大学院生の受け入れ等積極的に進めていくべきである。

・連携大学院に研究室長2名を参加させている。事業等を通じて水産試験場や大学との連携を図っているがデータの共有・共同解析等共同研究の面でもより努力してゆくとともに、学生の指導に関してもさらに拡充してゆく。

5)科研費への申請ができるようになったということは個人の独立性が認められたと理解したい。科研費への申請をさらに行い共同研究をもっと組みやすくする必要がある。研究者間の短期交換なども考慮に入れ人的交流をさらにうまく活用すべきと考える。

・平成13年度は3件、14年度には2件の応募を行った。科研費だけでなく、機会があるごとに研究者が競争的資金に対してより積極的に応募するよう呼びかけている。

6)研究内容についてはレベルが高いので、もっと国際的学術雑誌等へ研究成果を投稿すべきである。

・国際会議対応、事業関係の調査によって時間的制約が大きいが、今後とも成果の論文化に努力するよう研究者を指導してゆく。14年度は査読論文が38件という成果を得た。

7)海外での研修や留学等によって研究者の資質維持向上が重要であり、研究者がもっと動きやすい制度、センター自体に柔軟性をもたせることが必要である。研究者にもっと時間的余裕を持たせることが重要である。

・13年度より交付金による海外出張の応募ができるようになり、13年度は7名、14年度は6名が国際学会や研究集会に参加した。業務負担を軽減させるため、契約研究員等の制度導入を本部に働き掛けている。

8)年度計画、中期計画に沿っているかどうかの評価は非常に難しい。また、5カ年の中期計画に対する調査研究をこの人員で行うのは非常に無理があると思う。中期計画及び中課題の評価の仕方がよくわからない。資料が多すぎる。

・評価方法については中期計画に沿うかどうかではなく、各部単位での研究と事業等の運営状況及び所全体としての運営状況について評価と意見をいただく、というかたちにしている。14年度からは資料数をやや少なくした。

 

6 14年度指摘事項等(外部評価委員の主な意見と対応方針等)

 外部評価委員の主な意見

 対応方針と実施状況

1)統合にあたって、業務量が増加する一方で人員削減されるため、何年か後には1人当たりの業務量が大幅に増加することが予想されるため、何らかの対策をとっているか。

・研究、支援、船舶部門が等しく削減される中で将来的には支援(総務系)部門の事務の合理化及び組織見直し、研究部門については部・室の大型化による長の削減を行って、研究員に振り替える。また、特別研究員や重点研究支援協力員等の獲得及び契約研究員等の制度導入による研究体制の維持及び補強を図っていく。

2)一次生産と漁獲量を結ぶいか類のような中間段階の生物の研究を重視すべき。

・外洋いか研究室と南大洋生物資源研究室が特別研究員や支援研究員とともに研究を推進しているが、研究室としては資源研究を優先せざるを得ない状況にある。

3)消費者の視点での研究も進めるべき。食の不安に対応するために、産地や魚種表示に関して遺伝学的研究成果の応用を図るべき。

・まぐろや鯨類に関しては既に成果の一部が活用されており、まぐろ類については、活用のため手法の簡便・迅速化にも努めている。消費者の視点での研究の推進については、今後の課題としたい。

4)県による遠洋資源研究の促進につながるように情報交換・指導・共同研究等を進めてほしい。

・事業を通じて県との連携を図ってきたが、共同研究などさらに発展させるよう努める。

5)水産研究からみて物理的海洋研究は必要であり、相当数の共同研究を結ぶべき。

・海洋研究部門が海洋技術センターと共同研究契約を結んで実施しており、他の共同研究も進めている。資源研究部門による共同研究も検討したい。

6)うみがめを含む混獲種の研究推進には他機関との連携協力を推進すべきである。

・うみがめに関しては、日栽協、名古屋港水族館等と連携協力して調査研究を進めているが、他種を含め更に推進に努力していく。

7 その他(所感、問題点等)

    遠洋水産研究所には人員増が必要であるとの意見が多く出された。また、うみがめ研究については専門家の手当が必要ではないかとの指摘があった。関連して、国際対応に多くの労力が割かれているが、対応の必要性の吟味が必要ではないか、との指摘があった。