研究成果情報(遠洋漁業関係)
アーカイバルタグによるクロマグロの渡洋回遊の実態
[連絡先] 0543-36-6034 [部会名] 遠洋漁業関係試験研究推進会議 [専 門] 資源生態 [対 象] まぐろ [分 類] 研究
[成果の内容・特徴] ・アーカイバルタグは、本体の長さ10cm、空中重量55gの標識で(図1) ![]() ![]() ・1995年から1998年までに、毎年冬季に対馬周辺海域で当歳魚を中心に229個体を放流した。1999年1月1日現在42個体が再捕され(再捕率18.3%)、うち5ヶ月以上の長期再捕は17個体である。 ・1996年11月に放流した標識装着魚のうち、1個体が約2年後に米国サンディエゴ沖で再捕された。それから回収された標識に記録されたデータから、この個体は、放流後、東シナ海へ南下・滞在し、1997年5月初めに九州南端を通過し、四国、本州の南岸に沿って、5月中旬には房総沖に達したことが解明された。その後、徐々に三陸沖から道東沖合を北東方向に移動していたが、11月中旬から一気に太平洋を横断し、1998年1月中旬米国西岸沖に到達した。その間の平均移動速度は1日100km以上に達した。その後、8月に再捕されるまで米国西岸で南北移動を繰り返していた(図3) ![]() ・当歳魚は、冬季には夜間、表層50m以浅を中心に鉛直行動を行い、日中は50~100m層で遊泳していることが明らかとなった。初夏になると夜間はごく表層に漂い、日中盛んに表層から100m深までの鉛直行動をしていることが示された。また、冬季には、腹腔内温度が周辺水温より2℃ほど高く、夏季ではそれ以上に高く腹腔内温度を保持していた(図4) ![]() [成果の活用面・留意点] 本手法は、国内においてブリ、トラフグ、ヒラメなど他魚種でも試みられている。クロマグロでは尾叉長約45cmを越える個体を対象としているが、より小型な若齢魚、あるいは小型魚種に適用するには、標識の小型化が必須である。 [その他] |