研究成果情報(遠洋漁業関係)
オットセイの胃中で消化されたいか類の同定とサイズの復元
[連絡先] 0543-36-6057 [部会名] 遠洋漁業関係試験研究推進会議 [専 門] 資源評価 [対 象] いか類 [分 類] 普及
[成果の内容・特徴] ・西部北太平洋からは8科15種のいか類が出現し、その出現頻度はホタルイカ (51.4%)、タコイカ(31.1%)、ユウレイイカ(12.2%)、スルメイカ(12.2%)、ツメイカ(10.8%)の順であった。個体数ではホタルイカが全体の94.6%に達し、6頭のオットセイの胃からは100個体以上(最大525個体)のホタルイカが出現した。 ・流し網によってオットセイが採集された中部北太平洋からは3科4種のいか類が認 められたが、アカイカの平均外套長は294 mmと大きかったが、これは流し網にかか ったアカイカを捕食したためと考えられた。 ・北太平洋で採集されたホタルイカの顎板を用いて、本種についてこれまで知見が なかった外套長の復元式を求めた(図2)。この式から導かれた胃内容物中のホタルイ カの平均外套長は1、2、4月の間、42~44mmとほぼ一定であった。 ・西部北太平洋のキタオットセイが捕食しているいか類は、摂餌海域において集群 している外套長200mm以下のいか類(図3)で、その中でも特に小型のホタルイカが 重要であることが明らかになった。 [成果の活用面・留意点] 他の大型捕食者の胃内容物についても、同様の手法によって胃内容物中のいか類の種 の同定とサイズの復元が可能である。また、小型いか類がオットセイの餌として重要な役 割を果たしていることが明らかになったことは、複数種の一括管理モデル開発に向けて有 益な知見である。今後は質的な研究の蓄積に加え、量的な検討を加えることが必要である。 [その他] 研究課題名:大型捕食者の消化管におけるいか類の同定技術の確立 |