太平洋クロマグロ0歳魚の回遊経路の初記録に成功

 太平洋クロマグロ資源の管理を推進するための調査研究を強化する一環として、国際水産資源研究所では、幼魚の回遊生態に関する情報(いつ、どこで、どのような環境下で、どれぐらいの期間過ごすのか)の収集・蓄積に取り組んでいます。南西諸島付近で孵化した生後2~3ヵ月のクロマグロ0歳魚(尾叉長20cm程度)は高知県や長崎県沿岸域での曳縄漁業から漁獲され始めます。この0歳魚は魚体が小さいことに加え(大人の手のひら大)、魚体に直に触れただけでも簡単に死んでしまうほど脆弱なので、これまで幼魚への記録型標識の装着は困難でした。 そこで標識を迅速に装着するための手術台を開発し、あわせて水中での手術(装着するお腹部分だけ空中に出す)と丁寧な取り扱いによって、魚の取り上げから30秒~1分以内で腹腔内に記録型標識を挿入することができるようになりました。その結果、生残率が飛躍的に向上しました。また電子標識が従来の45gからわずか2.3g(水中重量1.2g)と飛躍的に小型化したことも魚の生残に貢献しました。今回これらの技術革新により、初めて0歳魚への記録型標識の標識放流に成功し、自然環境下における回遊情報を連続的に記録できるようになりました。

 

 

 

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