演 題 南極インド洋海区における海洋循環が南極生態系の構造及び氷の張り出しに及ぼす影響
演 者 Stepen Nicol(豪州南極局主席研究員)
日 時 9月19日(火) 15:30~16:30
場 所 大会議室
参加者 30名
概 要
2000年8月号の科学雑誌Natureに掲載された研究内容を中心とした講演であった。南極の海洋生態系の構造形成に大きな影響力を持つ海氷域と海洋の境界は、過去のデ ータから生物生産性が高いことが知られている。
1995年、オーストラリアの調査船 Aurora Australisによる調査の結果、冬季は経80-150度の南極インド洋海区では海氷 の張り出しの海域差が大きく、同海区の西側半分には植物プランクトン、基礎生産、ナン キョクオキアミ、クジラ類、海鳥類が集中したが、海氷の張り出しが少ない東側域には サルパが多く分布した。
これら生物の分布パターンを海洋構造との関係で見ると、生物 生産力は従来言われているように南極周極海域の南側境界域で生物生産力が高いの ではなく、むしろ同域の南側海域で高いといえた。 海氷の張り出しおよび南極周極海流の 位置や流動パターンが海洋循環により決定されることから、海氷の(張り出し)状態と各 栄養段階の生物生産力は海洋循環により左右されると結論された。
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