第14回談話会報告

演題: Is there a connection between dust and fish?:
How iron limitation controls primary productivity in the NE subarctic Pacific.

       (大気からの鉄の供給と魚の間に関係はあるのか?:北太平洋亜寒帯域東部において鉄
        がどのように基礎生産をコントロールしているのか?)

演者: カナダ ブリティッシュ・コロンビア大学 P. J. Harrison教授

場所:遠洋水産研究所 大会議室

日時: 平成11年5月6日 10:00~11:30



講演の概要:

北太平洋亜寒帯域における基礎生産過程についての講演がなされた。この海域の外洋域は窒素りん、珪素などの栄養塩があるにも関わらずクロロフィルの濃度は常に低レベルで大きな変化がい。以前はこの低クロロフィル濃度は動物プランクトンによる捕食圧が原因であると説明されてきが近年の研究で実は微量栄養素である鉄が制限要因となっているとの説が紹介された。また、外洋域の鉄の供給は主に空気中の塵を介してであることを紹介し、その供給源として黄砂のイベントの重要性を指摘した。

講演後の質疑で海洋の生態系システムについての議論がなされた。そのなかで、カナダ沖の北太平洋亜寒帯域では生態系のボトムアップおよびトップダウン・コントロールの双方が共存してり、通常鉄制限の状態では微小動物プランクトンによるトップダウン・コントロールが優占するが、黄砂などの影響で鉄がパルス的に供給されるとボトムアップ・コントロールも機能するとの考え方を示された。

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