温帯性まぐろ資源部=クロマグロなど温帯性まぐろ類の持続的利用を目指して=

温帯性まぐろには,太平洋に分布するクロマグロ,全世界の南緯30度以南に主として分布するミナミマグロ,北大西洋や地中海に分布する大西洋クロマグロ,全世界の主として温帯域に分布するビンナガの4種があります。特に前3者は大型で,特にクロマグロは体長が3mを超え,一般に長寿命で,ミナミマグロでは最高年齢が40歳以上に達するものもあります。

高級な寿司種(トロ)として近年特に珍重されています。これに対し,ビンナガは最大体長が130cm程度の比較的小型のまぐろで,身は白っぽく,最近は刺身で食されるようになりましたが,以前は主に缶詰の原料とされて来ました。カツオは小型のまぐろ類で,最大体長が90cm,寿命は最大で4〜5年程度,しかし資源量は非常に多くほとんどの熱帯,温帯域に分布します。

これらのまぐろ類は,主としてはえ縄,まき網,竿釣り,他の漁業により漁獲されますが,産卵域はいずれも熱帯域にあります。また,大規模な回遊を行うことが知られており,特に太平洋のクロマグロは若齢時に日本から米国南部及びメキシコ北部沿岸域へ回遊し,数年過ごした後,日本沿岸へ回帰することが知られています。

このような資源は,各国の経済水域のみならず公海を含む全ての分布域における資源管理が不可欠です。本資源部ではまぐろ類の各国際漁業機関(RFMOs)において加盟国の研究者と共同し,温帯性まぐろ類の資源量の変化をモニターし,資源を適正な水準に保つための科学的勧告を行っています。また,それに必要な成長,成熟,回遊,生態等の生物学的情報の収集や,資源解析に必要な我が国漁業データの収集とその解析を担当しています。